ゆるトレーニングを始めたものの、思ったような成果が出ずに戸惑ったり、「自分には向いていないのでは」と挫折しかけたりしていませんか?
実は、ゆるトレーニングは見た目以上に奥が深く、ただ動きを真似するだけでは効果を感じにくいという難しさがあります。
特に多くの人が見落としているのが「身体意識」という土台です。
身体意識がスティフのままだと、いくら練習を続けても結果につながりにくく、挫折してしまう原因になります。
本記事では、なぜ多くの人がゆるトレーニングで挫折してしまうのか、そしてフリーな身体意識を育てて成果を出すための具体的な考え方と取り組み方を解説します。
- なぜ多くの人がゆるトレーニングで挫折してしまうのか
- 身体意識(スティフとフリー)の違いと重要性
- ゆるトレーニングで成果を出すために必要な準備
- 挫折を防ぐための具体的な意識改善と取り組み方
努力しているのに成果が出ないのはなぜか

「毎日練習しているのに、思ったような成果が出ない」と感じる人は多いものです。
その大きな理由のひとつが、「身体意識」です。
身体意識とは、私たちが無意識のうちに体をどう使うかを決めている「体の深い設計図」のようなものです。
立ち方や歩き方、力のかけ方、バランスの取り方などがここで決まります。
いくら練習しても、この身体意識が整っていなければ、効率よく動けるようにならず、努力がなかなか結果につながりません。

身体意識を理解しないと何も始まらないのだ…
たとえば、プロのスポーツ選手のフォームを真似しても同じように動けないのは、この身体意識がまったく違うからです。
一流選手は体がしなやかで自由な「フリーな身体意識」を持っていますが、多くの人は体が硬く、こわばった「スティフな身体意識」のままです。
このスティフな身体意識のまま運動を練習したとしても、意識の根底が全く異なるため動きを再現できず、動きの質や結果に大きな違いを生んでしまうのです。
多くの人はスティフな身体意識であるためトレーニングの効果がでない
さらに、ゆるトレーニングは身体意識を鍛えるための高度なトレーニングであり、かなり難しく、効果を出すのが非常に難しいということも忘れてはいけません。
実際、教室に通って先生に教わり、毎日欠かさず練習しても「思ったような変化がない」という人は少なくないのです。


現代人の99%はスティフな身体意識である


今の時代に生きる多くの人は、自分でも気づかないうちに「スティフな身体意識」になっています。
なぜそうなってしまうのでしょうか。大きな原因は生活習慣です。
長時間のデスクワークやスマホ操作で同じ姿勢を続けること、便利な交通手段の普及で歩く機会が減ることなどにより、体は次第に固まっていきます。
さらに、ストレスや時間に追われる生活も無意識のうちに体を緊張させ、硬直させてしまいます。



生きているだけでどんどんスティフになっていくのですわ…
こうした要因が積み重なり、体はスティフな状態に固定されてしまうのです。
では、生活習慣を改善するために運動を取り入れれば身体意識は変わるのでしょうか?
答えはノーです。運動をしていてもフリーな身体意識を身につけるのは難しく、普段からスポーツをしている人でも、この状態から抜け出せていないことが少なくありません。
なぜなら、多くの運動は「スティフな身体意識のままでもできてしまう」動きで成り立っているからです。
運動という体系自体が記号的なことでできている場合が多い
たとえば、筋トレやランニング、球技の反復練習などは筋力や体力の強化が目的であり、身体意識の深い部分まで変化させることはほとんどありません。
また、スポーツ指導でも「フォーム」や「技術」といった表面的な指導が中心で、体の奥にある身体意識そのものにはほとんど効かないからです。
つまり、運動をしていても身体意識そのものに注目し、意識的に変えていかなければ、スティフな状態から抜け出すことはできないのです。


ゆるトレーニングは 記号成分のない純粋なトレーニング


ゆるトレーニングは、一般的な運動やスポーツと大きく異なり「記号成分」がほとんど含まれていない実は難しいトレーニングです。
記号成分とは、サッカーならパスやシュートの形、テニスならラケットの振り方、筋トレなら正しいフォームといったものです。
記号成分があることで運動は理解しやすいものとなった
こうした記号成分が多いことで、多くの人がマネしやすく一定の効果が得やすいというメリットがあります。
しかし、記号的ということは裏を返すと本質的なことが少なくなりやすい傾向になります。
具体的には、重心の移動など身体の細かい深い運動に関しては教えにくくなってしまうのです。



記号が多いほど本質的なこととは遠ざかってしまうのだ…
一方で、この記号成分が少ないということは本質的なことを鍛えるのには向いていますが、とっかかりが少なく非常にわかりにくいということになります。
ゆるトレーニングでもこれは言えることで、どのトレーニングでも深い身体意識の部分では複雑なことをやっており、それはとても理解しにくいのです。
そのため、単なる動きのマネでは再現できず、真に効果を得るにはわからないものも含めて認識していくような変化を自覚し、育てていく必要があります。


スティフな身体意識を改善しないと変わらないということ


多くの人は「努力すれば必ず成果が出る」と思いがちですが、ゆるトレーニングでは必ずしもそうとはいえません。
なぜなら、ゆるトレーニングの大前提はフリーな身体意識で行うことであり、フリーな身体意識とスティフな身体意識とでは根本となる土台がまったく異なるからです。
身体意識は身体の設計図のようなもので、身体はその設計図どおりに動きます。
したがって、設計図が違えば同じ動きをしていても中身のまったく異なる動きとなり、意識がスティフなままではいくらゆるトレーニングを行っても実際にはスティフなトレーニングになってしまいます。



スティフなままだとずっとスティフなことしかできないのだ…
そこで重要なのが、自分の身体意識が今どの状態にあるかとフリーな身体意識を認識することです。
フリーな身体意識がどんなものかわからなければ正しい方向に進んでいるか判断できず、暗闇の中で正解を探すように途方もない努力をしてもゴールにたどり着けません。
フリーな身体意識を認識できることが上達の鍵
だからこそ、自分の身体意識を知り、フリーな意識を体感することが第一歩なのです。
ここを抜きにしては、どれだけ努力を重ねてもスティフな身体意識から抜け出すことはできないのです。
ゆるトレーニングで成功するための「才能」とは


ゆるトレーニングで成果を出すためには、「才能」という要素が欠かせません。
ここでいう才能とは、一般的な運動神経やセンスのことではなく、身体意識の量や質を指します。
身体意識の量が多いほど、同じトレーニングをしていても感覚がより鮮明になり、身体意識を実感しやすくなります。



僕は特徴的な身体意識がないと師匠に言われたのだ…
また、身体意識の質も非常に重要です。
スティフな身体意識が多い人ほど、フリーな身体意識を身につけるのは難しくなります。
なぜなら、人は慣れていないものを理解するのが非常に大変であり、意識がスティフなままではどんな運動もスティフな運動になってしまい、ゆるトレーニングが本来目指す質の高い動きを再現できないからです。



拘束的な身体意識を取り除くことが重要なのだ
さらに、その人がもともとフリーな身体意識を育みやすい環境で成長してきたか、そして現在どれだけフリーな身体意識を備えているかという点も大切です。
フリーな身体意識が多いことは、いわば身体意識のベースが整っている状態であり、それが形成のしやすさに大きく影響します。
こうした条件が整っている人ほど、ゆるトレーニングの効果をより早く実感しやすいのです。
フリーな身体意識を育てるためには
ゆるトレーニングで成果を出すためには、いきなり高度なトレーニングに挑戦するのではなく、まず「フリーな身体意識」を育てる準備が欠かせません。
このベースができていなければ、ゆるトレーニングの本質を理解するのは難しく、練習を続けても効果が出にくくなってしまいます。
拘束的な身体意識を取り除く
最初は、拘束的なスティフな身体意識をなくすことです。
日常生活で無意識に続く疲れやストレスは、身体意識を拘束的なものにしてしまいます。
ゆる体操や呼吸法を取り入れ、少しずつスティフな身体意識から抜け出しましょう。


フリーな身体意識を認識する
次に重要なのは、フリーな身体意識がどのようなものかを体感し、認識することです。
どの状態がフリーで、どの状態がスティフなのかを理解できなければ、意識を変えることはできません。
暗闇の中で出口を探すようなもので、どれだけ練習してもゴールにたどり着けないのです。
専門種目に取り組む
さらに大切なのは、日常的な軽い運動だけでなく、武道・舞踊・演劇・競技スポーツなどの専門種目に取り組むことです。
専門種目は身体を深いレベルで使い込む体系的な活動であり、身体意識の深部を大きく変える力を持っています。
例えば、武道では「立つ・歩く・構える」といった単純な動きでさえ、重心や力の伝達まで徹底的に鍛えられます。
舞踊では全身をしなやかに連動させる高度なコントロールが求められます。
こうした積み重ねは、普段の生活や軽い運動では得られない深い身体感覚を生み出し、フリーな身体意識の形成につながります。
また、フリーな動きには高い運動強度が必要です。
全身を効率よく連動させるだけでなく、それを支えられる筋肉や関節の耐久性、エネルギー代謝能力が求められます。



身体を練り込む必要があるのだ!
専門種目の鍛錬は、この土台となる体力や代謝機能を整える役割も果たします。
さらに、数千回・数万回と同じ動きを繰り返すような長期的で高密度な練習が、身体意識を根本から作り変えていくのです。


記事のまとめ
記事をまとめます。
- ゆるトレーニングは記号的なフォーム練習ではなく身体意識を鍛える高度なトレーニングである
- 挫折の大きな原因はスティフな身体意識のまま練習してしまうことである
- 身体意識とは無意識の体の使い方を決める深いレベルの設計図である
- 現代人のほとんどは生活習慣やストレスでスティフな身体意識になっている
- 運動や筋トレだけではフリーな身体意識には変わらない
- ゆるトレーニングは表面的な動きの真似では効果が出ない
- 成果を出すにはフリーな身体意識を体感し認識することが必要である
- フリーな身体意識が少ない人ほど習得には時間と努力がかかる
- ゆるトレーニングの効果を得るには日常の疲れやストレスを解消する必要がある
- 呼吸法やストレッチなどで身体意識を解放する準備が必要である
- 武道や舞踊など専門種目の取り組みが深い身体意識を育てる助けとなる
- 身体意識の質と量が高い人ほど成果を実感しやすい
- 長期的で高密度な練習が身体意識を根本から作り変える鍵である
ゆるトレーニングで挫折してしまう多くの人は、努力や時間の使い方が間違っているのではなく、そもそもの身体意識が整っていないことが原因です。
フリーな身体意識を身につけることで、動きの質が変わり、初めてトレーニングの効果を実感できるようになります。
焦らず、まずは自分の身体意識を知り、疲れを解きほぐすことから始めてみましょう。
その一歩が、ゆるトレーニングを続けられる土台となり、挫折から抜け出すための大きな力になります。