四股を踏むことは、相撲の基本動作として知られていますが、その効果は相撲だけに留まりません。
この記事では、四股を踏むことの効果について詳しく解説します。
股関節の柔軟性向上や下半身の筋力強化、さらには体全体のバランス改善など、多岐にわたるメリットがあります。
また、イチロー選手が取り入れていることで話題になったことについても触れながら、具体的なやり方や意識するポイントを紹介します。
これを読めば、四股の真価を理解し、日々のトレーニングに取り入れたくなることでしょう。
- 四股の基本的な動作とその歴史的背景
- 四股を踏むことで得られる運動面での効果
- 四股と股関節の関係および重要性
- 四股トレーニングの具体的な方法と注意点
四股とは?
四股とは、相撲の基本動作の一つで、力士が土俵で片足を高く上げてから力強く地面に踏み下ろす動作を指します。
運動面では、足腰を鍛えるための重要な動作であり、ウォーミングアップとしても行われます。
歴史的には、大地を力強く踏むことで災いを追い払い、豊作を祈る儀式的な意味がありました。
現在も、土俵で四股を踏むことで穢れや邪気を払うとされ、「五穀豊穣・無病息災」の願いが込められています。
四股はなぜ重要なのか
イチローと四股の関係
出典:座りっぱなしで腰が痛い…その長引く「腰こり」には“イチロー式ストレッチ”が効く!
四股は相撲に関してとても重要ですが、スポーツの世界にとっても非常に有名です。
特に四股あるいは腰割りを有名にしたのはイチローです。
大きく腰を落としした独特の姿勢で準備をするイチローの姿を誰しも一度は見たことがあるでしょう。
イチローは、股関節をほぼ180度に開脚し、腰を落として両膝が90度になるほどの格好を取ることができていました。
股関節周りがものすごく開発されている証拠なのだ!
四股あるいは腰割りは、股関節を大きく開き、腰を低く落とす動作を含むトレーニングです。
この動作は股関節や膝関節の柔軟性を高め、下半身の筋力を強化します。
腰割りを行うことで、身体のバランスを保ちつつ、怪我の予防にも努めていました。
これにより、彼のバッティングや守備における動きのキレが向上し、長期間にわたって高いレベルでのプレーが可能になりました。
四股と股関節の関係
四股は相撲の基本動作の一つで、足を大きく開いて腰を落とし、片足ずつ高く持ち上げて踏み下ろす動作です。
この動作は、股関節の大きな可動域を必要とし、股関節周りの筋肉を強化するために非常に効果的です。
四股を行うことで、股関節の柔軟性が向上します。
股関節を大きく開く動作は、通常の生活ではあまり使わない筋肉や腱を伸ばすことができるため、柔軟性の向上に繋がります。
四股は股関節周りの筋肉と柔軟性を高めるのに効果的
また、四股は股関節だけでなく、深層外旋六筋も鍛えることができます。
深層外旋六筋は、梨状筋、内閉鎖筋、上双子筋、下双子筋、大腿方形筋、外閉鎖筋などの筋肉で構成されています。
この筋肉群は、骨盤と大腿骨をつなぎ、股関節を安定させる重要な役割を果たします。これにより、股関節の安定性が増し、体全体のバランスが向上します。
四股は正しい姿勢で行うことで、体幹を鍛える効果もあります。
股関節をしっかりと開き、腰を落とすことで、背筋が伸び、自然と正しい姿勢を維持する練習にもなります。
四股は股関節の開発にとても重要なのですわ♪
四股で最も重要なポイントとは
四股を踏む際に、足を大きく上げて腰を深く落とすことが重要だと考える人は多いでしょう。
確かに、足を大きく上げることで筋力が向上し、腰を深く落とすことで股関節の柔軟性が増します。
しかし、最も大切なのは股関節への意識を高めることです。では、なぜ股関節への意識を高めることが重要なのでしょうか?
その理由は以下の2つです。それぞれについて詳しく説明します。
- 下半身と上半身をつなぐため
- 筋金を通すため
下半身と上半身をつなぐため
股関節は脚の付け根に位置し、胴体と脚をつなぐ重要な関節です。
大腿骨頭が骨盤の寛骨臼にぴったりとはまり込む構造になっています。
この股関節は下半身と上半身をつなぐ唯一の関節であり、ここをうまく使えないと、下半身の力を上半身に、またその逆も効果的に伝えることができなくなります。
股関節が構造的に使いこなせないと力が伝わらない
さらに、股関節の周りには腸腰筋やハムストリングスといった筋肉があります。股関節の意識が高まることで、これらの筋肉も自然と働きやすくなります。
しかし、股関節は体の中心に位置しているため、普通の人がうまく使いこなすのは難しいです。多くの人は股関節の感覚をあまり持っていないでしょう。
股関節に意識がある人はめったにいないのだ……
股関節をうまく使うためには、まずその中心を見つける必要があります。伝統的な方法では、四股を踏むことでこれが可能になります。
四股の本質を理解すると、足を上げる動作や腰を落とす動作は、単に足を動かすのではなく、股関節の中心から行うべきだということが分かります。
筋金を通す
筋金とは、骨を中心に体を使う意識のことを指します。
もともと筋金という言葉は、補強目的で内部に使われる細長い金属を意味し、転じて、人の体や考え方が鍛えられて強くなっている様子、または物事がしっかりしている状態を表します。
つまり、人に当てはめると、体で一番硬い組織である骨に意識が通り、体が安定していることを意味します。
筋金ができると骨を中心に体を使えるようになるのだ!
骨は体を支える役割があるため、骨を意識的に使えるようになると、関節からも力が逃げることなく、しっかりと力を伝えられるようになります。
竹馬を例にすると分かりやすいでしょう。竹馬では、長い竹を中心に腕と足を棒で繋いで力を出すようになっています。
これを人の体に置き換えると、股関節を中心に上半身と下半身を繋ぎ、力を伝えることに相当します。
しかし、竹馬の竹が柔らかかったり関節があったりした場合、力は逃げてしまい、うまく伝えられません。人の体でも、骨ではなく柔らかい筋肉に力が逃げていると同じことが起こります。
竹馬のように体を構造的に使うのですわ
四股では、腰椎から腸骨、股関節、大腿骨にかけて力を伝えることが重要で、これが筋金なのです。
股関節に正しく乗ることができると、周囲の筋肉が弛緩し、股関節の意識が高いほど深く屈伸運動や深い腰割りも可能になります。
四股トレーニングの方法
まず、足を肩幅より少し広めに開きましょう。
足を大きく開くと負荷が増しますが、初めのうちはあまり広げなくても大丈夫です。
足をそれぞれ45度ずつ開きましょう。このとき、股関節から開くように意識してください。
また、膝と足先が一致するように注意しましょう。
膝と足先がズレていると、膝を痛める原因になるので気をつけてください。
手を股関節の位置に当てましょう。股関節は鼠径部の中心にありますので、その部分に触れてください。
そうすることで、股関節の意識が高まり、股関節を中心にした運動ができるようになります。
股関節の中心を意識しながら、上下にスクワットを行いましょう。
上下の動きを大きくするほど股関節に負荷がかかりますが、最も重要なのは動き始めの部分です。
ここで、股関節をミリ単位で正確に意識することが大切です。
この動きが正確にできるようになると、股関節を正しく使えるようになります。
大きな動きをするよりも、まずは正確性を重視しましょう。
四股トレーニングのコツと注意点
股関節の意識を高める
四股トレーニングを行う際に股関節の意識を高めることが非常に重要です。では、どのようにして股関節の意識を高めることができるのでしょうか。
まず、股関節の位置を正確に理解することが必要です。
股関節は、正面から見ると鼠径部の中心にあり、横から見ると大転子のほぼ真横に位置しています。
これらの交点に股関節があることを認識しましょう。大転子を股関節と勘違いする人もいるので注意が必要です。
股関節は正面と横から見た時のそれぞれの中心に位置している
次に、股関節を意識するために「踵クルクル体操」を行いましょう。
この体操は、踵と股関節を意識的に繋ぎ、踵を回転させることで股関節をゆるめるものです。
股関節は前述の交点にあるので、その位置をイメージしながら脚を回転させてください。
腰の力を抜く
四股トレーニングを行う際は、腰に力を入れないように注意しましょう。
腰に力が入ると、股関節周りの外側の筋肉が緊張してしまい、股関節の意識が薄れてトレーニング効果が低下してしまいます。
以下のポイントに注意すると、腰の力を抜きやすくなりますので、意識してみてください。
- 腰の周りの筋肉をゆるめる体操を行う
- 腰の力を抜くように意識する
腰の周りの筋肉をゆるめる体操を行う
腰周りの力を抜くためには、「寝ゆる黄金の3点セット」を行いましょう。
この体操は、腰や股関節周りの筋肉をリラックスさせるのに効果的です。
まずは腰回りの力を抜けるように頑張るのだ!
10分程度行うと、腰の力が抜けやすくなりますが、5分程度でも十分に効果があります。軽い気持ちで取り組んでみてください。
腰の力を抜くように意識する
トレーニングの際には腰の力を抜くことが重要です。
中腰の姿勢で股関節を上下に動かすと、徐々に腰に力が入ってしまうことがあります。その際は、腰を優しくさすってみてください。
さすることで腰の力が抜けやすくなります。また、股関節の前面をさすることも、周囲の余計な筋肉の力を抜くのに効果的なので、積極的に行いましょう。
腰裏と股関節をさすることで力みを抜くことができる
腰の力がうまく抜けると、股関節から仙骨にかけて適度な負荷がかかり、結果的に腸腰筋も適度に締まる感覚が得られます。
これにより、体幹から体をしっかり支える感覚も養うことができるでしょう。
力みを抜くことでトレーニングの効果が増すのですわ
ただし、最初に体幹を締めようとすると体が緊張して股関節にうまく乗れなくなるため、まずは股関節の中心を意識することに集中してください。
垂直方向を意識する
四股トレーニングを行う際には、股関節と脛骨の直下点を意識して、垂直方向に力をかけましょう。
垂直方向に力をかけることで、股関節の中心により負荷をかけることができ、筋金を通すために重要です。
脛骨直下点は脛骨の真下に位置し、下半身の軸を形成するための重要なポイントです。
股関節と脛骨直下点を意識して垂直にスクワットを行うのが重要
ここをしっかりと意識してください。脛骨直下点について詳しく知りたい方は、関連する解説記事を参照してください。
また、股関節の意識がすでにある程度高い人は、背骨の軸を意識することでさらに股関節に負荷をかけることができるので、試してみてください。
記事のまとめ
記事をまとめます。
- 四股は相撲の基本動作の一つである
- 足腰を鍛えるための重要な運動である
- 歴史的に災いを追い払い豊作を祈る儀式であった
- イチローも四股や腰割りをトレーニングに取り入れている
- 四股は股関節や膝関節の柔軟性を高める
- 股関節を大きく開き腰を低く落とす動作を含む
- 股関節の柔軟性と筋力強化に効果的である
- 股関節周りの深層外旋六筋を鍛えることができる
- 四股は股関節の安定性を向上させる
- 股関節の意識を高めることが重要である
- 骨を中心に体を使う意識を持つことが筋金である
- 四股は骨を中心に力を伝えるための運動である
- 股関節の正確な位置を理解することが重要である
- 踵クルクル体操で股関節を意識する
- 腰の力を抜くことが四股の効果を高める
- 寝ゆる黄金の3点セットで腰をリラックスさせる
- トレーニング中に腰に力が入らないようにする
- 脛骨直下点を意識して垂直方向に力をかける
- 股関節の意識を高めることでトレーニング効果が増す
- 四股は体幹を鍛える効果もある
- 足と膝の位置を一致させることで膝の負担を減らす
- 四股トレーニングの正確な方法を守ることが重要である
- 股関節の前面をさすり筋肉の緊張を解く
四股を踏むことの効果は、相撲だけでなく、日常のトレーニングや健康維持にも大いに役立ちます。
股関節の柔軟性や筋力を高め、体全体のバランスと安定性を向上させることで、スポーツのパフォーマンス向上や怪我の予防にも繋がります。
四股の動きを正しく理解し、意識を高めることで、より効果的にトレーニングを行うことができます。
この記事を参考に、四股を取り入れた運動を日常に取り入れ、健康で強い体を作りましょう。