スポーツや趣味の練習を一生懸命に続けているのに、なかなか上達しないと感じていませんか?
「練習しても上手くならない」と感じている方は少なくありません。
同じチームで同じ時間練習しているのに、なぜ自分だけが思うように上達しないのでしょうか?
この記事では、その原因を「本質力」と「具体力」の観点から詳しく解説し、上達するための具体的な方法をご紹介します。
これを読めば、あなたも練習の効果を最大限に引き出し、確実に上達するためのヒントが得られるでしょう。
- 本質力と具体力の重要性
- 骨を鍛える重要性
- 効果的なトレーニングの段階と実践方法
なぜ練習しても上手くならないのか?
スポーツの練習を一生懸命しているのに上達しないと悩んでいる人は多いと思います。同じチームで同じ時間練習しているのに、上手な人とそうでない人がいるのはなぜでしょうか?
これは、上達には「本質力」と「具体力」の両方が必要だからです。ではこの二つの概念は一体何なのでしょうか。
本質力と具体力とは
本質力
本質力とは、体の各部分を自由自在に動かせる能力のことです。
体のパーツを細かくコントロールでき、体の重みや骨の使い方を意識的または無意識的に調整できる状態を指します。
具体力
具体力とは、特定のスポーツにおける具体的な動きのスキルです。
例えば、サッカーならドリブルやシュート、野球ならバットの振り方やボールの捕り方、社交ダンスならステップやホールドの取り方が該当します。
- 本質力とは体を自由自在に使えること
- 本質力とはスポーツにおける具体的な動きのこと
本質力と具体力をあげるということ
では、なぜ「本質力」と「具体力」の両方を伸ばさなければならないのでしょうか。
その理由は、運動が得意で上達の早い人は、まず体を自由自在に使える能力を持ち、その上で専門的な動きを練習しているからです。
専門的にはこれはゆるんでいる状態というのだ!
つまり、多くの体のパーツを効果的に使えるため、より強い力や速い動きを出せるのです。
一方、普通の人は体が固まっていて、自由に使えない状態で専門的な動きを行っています。
このため、体が制約された動きをベースにして運動を続けることになり、なかなか上達しないのです。
ゆるんでいない人は体のパーツを使いこなせないのだ……
この問題を解消するためには、体をほぐして自由に動かせる状態にすることが必要です。
加齢による可動範囲の減少も、体が使えなくなる原因の一つですから、柔軟性を保つことも重要です。
本質力のある状態で具体力を鍛えることでより高いパフォーマンスを発揮できる
「本質力」を上げるにはどうしたらよいか
組織分化について
組織分化とは、文字通り体の組織が細かく分かれている状態を指します。
具体的には、体を骨、内臓、筋肉に分けることができるということです。
骨は約200個、筋肉は400〜800個ありますが、理想的にはそれらすべてを個別に感じ、使い分けることができる状態を意味します。
体のパーツはとても多いのですわ
実際には、これを完全に実現できる人はほとんどいません。
しかし、日常的なレベルで言えば、全身の骨をズラすことができ、骨を中心に体を支え、筋肉の力を抜いてリラックスできる状態が理想です。
骨を中心に体を支えるためには、骨を鍛えることが重要です。
骨はかなり分化できないといけないのだ
骨を鍛えるということ
なぜ骨を鍛える必要があるのでしょうか。それは、骨が非常に硬く、体を支える役割を持っているからです。
例えば、大腿骨は約300kg、腰椎は約700kgの重さを支えることができると言われています。
これほどの重さを支えられる骨を効果的に使えると、どのような状態になるのでしょうか。
骨がしっかりと働いている人の特徴としては、まっすぐに立っており、表面の筋肉がリラックスしていることがあげられます。
体に一本ビシッと線を感じるのが筋金がある人なのだ!
ここで「脱力」とは、全身の力を完全に抜くことではなく、インナーマッスルが効率的に働き、アウターマッスルがリラックスしている状態を指します。
昔の言葉で言うと「筋金が通っている」状態です。
例えば、合気道の世界では塩田剛三先生の映像では、骨が非常に効いていることがわかります。
体の隅々まで意識が行き渡っている一方で、力んでいる様子は微塵も見えません。
社交ダンスの石原正三先生の映像でも、骨がしっかりと働いている様子が見て取れます。
骨が使えると表面の力みがないがものすごくしっかりとした運動ができるようになる
武道では、表面の筋肉をリラックスさせ、骨で体を支えることで、筋肉や内臓が自然とついてくる独特の運動構造を生み出します。
骨の中心が線でつながることで、体に隙がなくなります。
動きも体の中心から始まるため、疲れにくくなり、表面の筋肉を力んで使うよりも、はるかに大きな力を発揮できるようになります。
トレーニングの段階について
では、本質力を磨いていくにはどのような段階を経ていかないといけないのでしょうか。
本質力を磨くのには時間がかかりますが、以下のような行程を経ていきます。
- 体をゆるめる段階
- 極意トレーニングを導入する段階
- 極意理論に運動を変換していく段階
体をゆるめる段階
ゆるトレーニング・ゆる体操を行う習慣を身につけるのと慣れていく段階です。この段階では、習慣化が非常に大変で問題となってきます。
生まれた頃は誰でもゆるんでいますが、年々拘束的身体意識が増えるため体が固くなったり、代謝が悪くなったりしてきます。
体をゆるめるのになれるのが非常に大変なのだ……
ゆるトレーニングを始めた人は体がほぐれるため気持ち良い感覚が味わえるため継続しやすいと思いますが、時間を取るようにしてください。
健康目的であれば1日10分でも問題ないと思いますが、ゆるトレーニングでパフォーマンスを高めるためには1~2時間程度は必要です。
極意トレーニングを導入する段階
次の段階では、具体的な身体意識を鍛えていくことになります。
ゆるトレーニングを数年間続けると、体が柔らかくなり、基本的な状態が整ってきます。この段階で本格的な極意トレーニングを始めるのが良いでしょう。
最初から専門的な身体意識を鍛えるのではなく基礎を作るのが大切
体がある程度柔らかくなっていないと、拘束的な土台が残ったままで極意トレーニングを行うことになり、優れた身体意識を身につけることが難しくなります。
たくさんの身体意識がありますが、その中でも「センター」「レーザー」「ベスト」「転子」「裏転子」の5つの意識を形成するだけで十分だと考えています。
これら5つをしっかりと鍛えることで、かなり高いレベルまで達することができます。
逆に、あれこれと手を広げすぎると、どの意識も中途半端になり、結果的にパフォーマンスが向上しないこともあります。自分が特に気になる身体意識に絞って鍛える方が効果的です。
まずは5つくらいに集中してトレーニングをやるのだ!
極意トレーニングについては、高岡英夫先生の著書が非常に参考になります。現在でも多くの本が出版されていますので、興味のある内容をどんどん読んでみてください。
極意理論に運動を変換していく段階
この段階では、専門的な運動を極意理論に置き換えていくことが重要です。
具体的には、バットを振るときに「ベスト」の意識を使ったり、歩くときに「センター」や「裏転子」「転子」の意識を使ったりすることです。
無意識で身体意識が働くようにするのは一生かかるかもしれないのだ……
日常の動きを身体意識に任せて行うのは非常に難しく、多くの人がこの段階で苦労しています。しかし、この段階をクリアしないとさらなる上達は難しいです。
最終的な目標は、無意識のうちに自分の動きが極意に基づいて行われることです。
ゆるトレーニングを長く続け、かなりの水準に達している人の動きは、一見すると普通の人には理解しづらいですが、本質を理解すればその違いがわかります。
指導員の中にはこの高い水準に達している方もいらっしゃるので、実際にその動きを見るのが良いでしょう。
この記事のまとめ
記事をまとめます。
- 上達には本質力と具体力の両方が必要
- 本質力とは体の各部分を自由に動かせる能力
- 具体力とは特定のスポーツにおける具体的な動きのスキル
- 運動が得意な人は本質力と具体力を兼ね備えている
- 体が固まっていると上達しにくい
- 体をほぐすことで自由に動かせる状態にする必要がある
- 加齢により可動範囲が減少するため柔軟性を保つことが重要
- 組織分化は体の組織を細かく分けて使う能力
- 骨、内臓、筋肉を個別に感じ使い分けることが理想
- 骨を中心に体を支えることが重要
- 骨を鍛えることで体をしっかり支えられる
- 脱力とは深層筋を働かせ表層筋をリラックスさせること
- 武道や社交ダンスの達人は骨を効率的に使っている
- 骨の中心がつながることで体に隙がなくなる
- ゆるトレーニングは体をほぐし柔軟にする
- 健康目的なら1日10分のゆるトレーニングでも効果あり
- パフォーマンス向上には1〜2時間のゆるトレーニングが必要
- 本質力を高めるために極意トレーニングを導入
- 具体的な身体意識を鍛えることで上達する
- 5つの意識(センター、レーザー、ベスト、転子、裏転子)が重要
- 高岡英夫先生の著書が参考になる
- 専門的な運動を極意理論に置き換えることが重要
- 極意に基づく動きを無意識に行うことが最終目標
- 高い水準に達した指導員の動きを参考にする
- 極意理論により日常の動きを効果的に変える
「練習しても上手くならない」と感じている方にとって、上達の鍵は「本質力」と「具体力」の両方をバランスよく鍛えることです。
体を自由に動かせるようにすることで、専門的な動きも効果的に行えるようになります。
ゆるトレーニングや極意トレーニングを取り入れ、体をほぐして柔軟性を保ちつつ、具体的なスキルを磨いていくことで、確実に上達への道が開けます。
最初から上達するんだと強く思ってやるよりも「まずは始めてみよう」くらいの感覚だと結果的に長続きするものです。
焦らず一歩ずつ、自分の体と向き合いながら練習を続けていきましょう。あなたの努力が実を結ぶ日が必ず訪れるはずです。