肩甲骨が「埋もれる」という状態に悩んでいませんか?
肩甲骨が背中の筋肉や脂肪に隠れてしまい、触っても感じにくいと感じることがあるかもしれません。
実は、肩甲骨が埋もれる原因には、姿勢の悪さや筋肉の硬直が深く関係しています。
この状態が続くと、肩こりや背中の不快感が増し、日常生活にも影響が出ることがあります。
この記事では、肩甲骨が埋もれる原因に焦点を当て、その原因と具体的な対策を詳しく解説します。
肩甲骨周りの筋肉や関節を柔らかく保ち、正しい姿勢を取り戻すための方法を一緒に見ていきましょう。
- 肩甲骨が埋もれる状態の具体的な原因
- 肩甲骨周りの筋肉や関節の柔軟性が重要である理由
- 肩甲骨が埋もれる状態を改善するための具体的な方法
- 姿勢と肩甲骨の正しい位置関係を保つためのポイント
肩甲骨が埋もれるとはどういう状態か
肩甲骨が「埋もれる」とは、本来浮き上がっているべき肩甲骨が、背中の筋肉や脂肪によって見えなくなり、触れても感じづらい状態を指します。
また、肩甲骨周りに脂肪が多くつくと、肩甲骨がさらに隠れてしまい、結果として「埋もれる」状態が進行します。
肩甲骨が機能しなくなっているのだ
肩甲骨が埋もれている状態は、肩甲骨を動かす際に必要な筋肉がうまく機能しなくなっています。
この状態が続くと、肩こりや背中のこりが生じやすくなり、さらに姿勢の悪化を招くことがあります。
肩甲骨が埋もれる原因
肩甲骨のポジションが悪い
肩甲骨が埋もれる原因の一つは、肩甲骨のポジションが悪くなることです。
肩甲骨は通常、背骨から指4本分ほど離れているのが理想的な位置です。
しかし、長時間のデスクワークやスマホ操作による前かがみの姿勢が続くと、肩甲骨が外側に開き、その内側の縁が背中にぴったりと張り付くようになります。
肩甲骨の位置が広がってしまっているのですわ
この状態では、肩甲骨の輪郭が目立たなくなり、結果として「埋もれる」ことになります。
さらに、猫背や巻き肩などの姿勢が続くと、背中の筋肉が硬直し、肩甲骨の可動域が狭くなります。
これにより、肩甲骨が本来の位置からずれ、動きが制限されます。
特に、肩甲骨を引き寄せる菱形筋が弱まると、肩甲骨はさらに外側に広がり、背中に密着しやすくなります。
肩甲骨周りが硬い
肩甲骨が埋もれる原因として、肩甲骨周りの筋肉や関節が硬くなることがあげられます。
本来、肩甲骨は浮き上がった状態で柔軟に動くことが理想的です。肩甲骨周りが硬くなるということは肩甲骨周りの筋肉が緊張し、柔軟性を失ってしまいます。
特に肩甲骨を動かす役割を持つ菱形筋や僧帽筋、肩甲挙筋が硬直すると、肩甲骨が背中にぴったりと張り付いてしまう原因となります。
肩甲骨は肋骨の上をズルズルに動くのが自然な状態である
この硬直が進むと、肩甲骨の可動域が著しく制限されます。
肩甲骨が本来持つ上下や左右への自由な動きが妨げられ、その結果、肩甲骨周りの血流の流れが滞りやすくなります。
これにより、肩こりや背中のこりが悪化するばかりか、肩甲骨周辺に脂肪が蓄積しやすくなることもあります。
背中の代謝も落ちてしまうのだ…
肩甲骨を出すためにはどうするべき
肩甲骨をしっかりと浮き上がらせるためには、まず肩甲骨周りの筋肉を理解することが重要です。
その上で、どの部分を重点的にトレーニングすれば良いかを知ることで、効率的に肩甲骨周りを鍛え、肩甲骨を浮き上がらせることができます。
肩甲骨周りの筋肉とは
僧帽筋
僧帽筋は、背中の上部に位置する大きな筋肉で、左右対称の形状をしており、上背部から首、肩にかけて広がっています。
この筋肉は、その形が僧侶のかぶる帽子に似ていることから「僧帽筋」と名付けられました。
- 上部僧帽筋
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頸部から肩の上部にかけての部分。この部分は首を引き上げたり、肩を上げたりする動作に関与します。
- 中部僧帽筋
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背中の上部中央に位置し、肩甲骨を内側に引き寄せる動作に関与します。
- 下部僧帽筋
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下部に向かう部分で、肩甲骨を下げたり、肩甲骨を回転させたりする動作に関与します。
ローテーターカフ
ローテーターカフは、肩関節の周囲にある4つの筋肉とその腱の集合体で、肩の安定性と動きを補助する役割を果たしています。
肩は非常に可動域の広い関節ですが、その分、不安定になりやすいため、ローテーターカフが肩を安定させるために重要な役割を担っています。
- 棘上筋
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肩の上部に位置し、腕を横に上げる動作を補助します。
- 棘下筋
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肩甲骨の後面にあり、腕を外側に回旋させる動作を担当します。
- 小円筋
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棘下筋の下部に位置し、同様に腕の外旋を助けます。
- 肩甲下筋
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肩甲骨の前面にあり、腕を内側に回旋させる動作に関与します。
前鋸筋
前鋸筋は、胸郭の外側に位置する筋肉で、肩甲骨を肋骨に押し付け、肩甲骨の動きと安定性に重要な役割を果たしています。
名前の通り、鋸のような形をしていることから「前鋸筋」と呼ばれています。
前鋸筋は、上部の肋骨から始まり、肩甲骨の内側縁に付着します。この筋肉は、胸郭の外側を覆うように広がり、肩甲骨を前方へと引っ張る動作に関与します。
菱形筋
菱形筋は、肩甲骨を背骨に引き寄せる役割を担う背中の筋肉で、肩甲骨の安定性や姿勢の維持に重要な役割を果たしています。
この筋肉は、形が菱形に似ていることから「菱形筋」と呼ばれています。
- 小菱形筋
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この筋肉は、首の下部から肩甲骨の上部内側縁にかけて位置します。大菱形筋に比べて上部にあり、小さい筋肉です。
- 大菱形筋
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小菱形筋の下に位置し、胸椎から肩甲骨の内側縁にかけて広がる大きな筋肉です。
肩甲挙筋
肩甲挙筋は、首から肩甲骨にかけて存在する筋肉で、肩甲骨を持ち上げる役割を果たしています。
この筋肉は首の横側から肩甲骨の上部にかけて伸びており、肩甲骨の動きや姿勢の維持に重要な役割を担っています。
肩甲挙筋は、頸椎から起始し、これらの椎骨の横突起から肩甲骨の上角および内側縁の上部に付着しています。
肩甲骨周りを柔らかくする
肩甲骨をはっきりと浮き出させるためには、肩甲骨周りの筋肉や関節を柔らかく保つことが不可欠です。
しかし、「肩甲骨周りの筋肉を柔らかくする」と言われても、具体的にどのようにすれば良いのか、イメージが湧かないかもしれません。
そもそも、肩甲骨を意識したことがなく、その構造についても知らないという人が大半でしょう。
そのため、肩甲骨周りを柔らかくするには、正しい手順をしっかりと踏むことが大切です。
- 肩甲骨外側の大きな筋肉をほぐす
- 肩甲骨内側の細かい筋肉をほぐす
まずは、外側の大きな筋肉をほぐすことから始めます。
具体的には、僧帽筋をほぐすことが重要です。多くの人は僧帽筋が非常に固まり、背中にべったりと張り付いています。
まずは表面の大きな筋肉をほぐすのだ
この僧帽筋が張り付いた状態では、肩甲骨を自由に動かすことはほぼ不可能なので、まずはこの筋肉をほぐすことに取り組みましょう。
次に、肩甲骨に付着している筋肉や肩甲骨の下側にある筋肉をほぐしていきます。
肩甲骨の下や横にある筋肉は、一般的には感じ取りにくい筋肉です。そのため、肩甲骨を動かすことを意識しましょう。
肩甲骨を動かすことで、自然とその周囲の筋肉をほぐすことができます。
肩甲骨の下の筋肉をトレーニングするには肩甲骨を動かすことを意識する
肩甲骨のポジションを整える
肩甲骨を正しく出すためには、肩甲骨の適切なポジションを整えることが不可欠です。
理想的な状態では、肩甲骨は背骨から適切な距離を保ち、自然な角度で位置しています。
しかし、「自然なポジション」と言われても、具体的にどこが自然なのか分かりにくいかもしれません。
肩甲骨の自然なポジションとは、肩甲骨が前後左右上下のすべての位置において、バランスが取れている状態を指します。
肩甲骨のポジションは前後左右上下の中間に位置していること
簡単に言うと、肩甲骨が前に滑りすぎても、後ろに引きすぎてもいない状態です。上下の位置で言えば、肩甲骨が上がりすぎてもいない状態です。
肩甲骨が前に滑りすぎている人は、肩甲骨を後ろに引く必要がありますし、後ろに引きすぎている人は前に持ってくる必要があります。
丸まっている人は肩甲骨が後ろに行くようにするのだ
こうして肩甲骨の位置を整え、さらに肩甲骨が背中にしっかりと剥がれた状態であれば、肩甲骨が背中に埋もれることはありません。
この状態は、肩甲骨が埋もれないだけでなく、肩周りの筋肉が非常に柔らかい状態になるため、日頃の肩周りの疲労を解消することもできます。
正しい姿勢と肩甲骨との関係
肩甲骨を立たせるということ
正しい姿勢と肩甲骨の関係において重要なのは、肩甲骨を「立たせる」ことです。
これは「立甲」と呼ばれる状態で、武道やスポーツの世界では重要とされている概念です。
スポーツをしていない人にとっても、この概念は知っておくと非常に便利な概念です。
立甲ができると肩甲骨が浮くのですわ
一般的に、肩甲骨を立たせるとは、肩甲骨が背中に対して適切な角度で位置し、浮き上がるような状態を指します。
この姿勢を維持することで、肩甲骨が自由に動き、背中全体の可動域が広がります。
肩甲骨が立った状態では、背中の筋肉が効率的に使われ、肩甲骨の安定や肩への負担軽減につながります。
立甲については、以下の記事で詳しくまとめてありますので、興味のある方はぜひご覧ください。
背骨・肋骨を土台にするということ
肩甲骨が埋もれてしまう原因として、筋肉が背中に張り付いてしまうことが挙げられますが、その原因をご存知でしょうか。
姿勢が悪いと一口に言っても、さまざまな原因がありますが、あまり意識されていないこととして、背中を効率的に使えていないことがあげられます。
しかし、単純に背中を使えばいいと言うとそういうわけではありません。
そして、背中に力を入れて胸を張ることだと考える人が多いですが、これは本当に正しいのでしょうか。
実際にやってみると分かりますが、背中に力を入れると背中の筋肉が硬くなり、肩甲骨周りの筋肉も硬直して、かえって肩甲骨が埋もれてしまいます。
背中は力んではいけないのですわ…
では、どこを基準にすれば良いかというと、背骨や肋骨を土台とし、肩甲骨周りの筋肉の力を適度に抜くことです。
背骨と肋骨を中心に据えることで、肩甲骨は背中に対して力が抜けた状態で自然に垂れ下がるようになります。
肋骨や背骨をしっかりさせることで肩甲骨を力まずに使うことができる
さらに、「立甲」を覚えることで、肩甲骨で支える感覚を身につけると、肩甲骨が肋骨に対して正しい位置に整い、背中を効率的に使えるようになります。
そのように使えるようになると、肩甲骨は自由に動かせるようになり、自然と肩甲骨が肋骨から剥がれた状態を保てるようになるのです。
つまり、肩甲骨を意識することも大切ですが、固めるのではなく、他の部分で土台を作り、肩甲骨を自由に動かせるようにすることが重要なのです。
肩甲骨周りを柔らかくする体操
肩甲骨周りを柔らかくする体操をご紹介します。
これは「ゆる体操」と呼ばれるもので、気軽に取り組める一方、効果が高いことで知られています。
おすすめの体操を2つ紹介しますので、ぜひチャレンジしてみてください。
肩ユッタリ回し体操
肩を前・上・後ろ・下の順番で回していく体操です。
一般的な肩回しをイメージすればわかりやすいですが、効果を高めるためには意識するポイントがあります。
- 肩甲骨を肋骨からはがすようにする
- 肩をキレイに回すのを心がける
- 肩を力まないようにする
まず、肩甲骨が肋骨から剥がれることを意識しましょう。肩甲骨が肋骨からしっかりと剥がれるように、大きく動かすよう心がけてください。
次に、肩をきれいに回すことを意識します。きれいに回すというのは、前・上・後ろ・下の順で均等に回すことを意味します。
肩甲骨をキレイに回せるようになると効率的に開発できるのだ
必ず、どこか回しにくい部分が出てくると思います。その部分はコリが溜まっている場所なので、重点的に行うようにしましょう。
最後に、肩周りには力を入れないようにしましょう。特に僧帽筋が固まってしまうと効果が半減してしまうため、注意が必要です。
肩甲骨モゾモゾ体操
これは、肩甲骨を動かす体操です。
まず、肩甲骨に触れてみましょう。触れることで肩甲骨への意識が高まり、体操がしやすくなります。
肩甲骨に直接触れにくい場合は、壁に肩甲骨を当てる方法も効果的です。
次に、肩甲骨を動かしてみましょう。最初は背中全体が大きく動く程度で、肩甲骨を動かすのは難しいかもしれません。
しかし、続けていくうちに肩甲骨周りの筋肉がほぐれ、肩甲骨が動くようになってきます。
慣れてきたらピンポイントに肋骨と肩甲骨の間を動かすようにします。
慣れてきたら肩甲骨の下を徹底的に動かすのですわ
肩甲骨が自由に動き、浮き上がるようになるまで、諦めずに続けてみてください。
マッサージガンで肩周りをケアする
肩甲骨周りの筋肉を柔らかくする方法を紹介しましたが、体操をするのは少し面倒だと感じる方もいらっしゃるかもしれません。
そんな方には、マッサージガンがおすすめです。マッサージガンは、ただ当てるだけで簡単に体をケアできる道具で、筆者もよく利用しています。
あると便利だから是非検討してほしいのだ
特に肩周りはコリが溜まりやすく、多くの人が悩んでいる部分です。こうした場所にも手軽に使えますし、さらに脚など、体の他の気になる部分にも使用できます。
一つ持っていると非常に便利ですので、興味を持たれた方は、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
まとめ
記事をまとめます。
- 肩甲骨が埋もれるとは、筋肉や脂肪で肩甲骨が見えなくなる状態である
- 肩甲骨が埋もれると、肩や背中のこりが生じやすくなる
- 長時間の前かがみ姿勢が肩甲骨のポジションを悪化させる
- 猫背や巻き肩が肩甲骨の埋もれる原因となる
- 僧帽筋が固まると肩甲骨が背中に張り付く
- 肩甲骨周りの筋肉の硬直が埋もれる原因となる
- 肩甲骨の可動域が狭まると姿勢が悪化する
- 肩甲骨を正しい位置に戻すには筋肉の柔軟性が重要である
- 肩甲骨を動かす体操が有効な改善策である
- マッサージガンは肩甲骨周りのケアに便利である
- 正しい姿勢が肩甲骨の埋もれを防ぐ
- 肩甲骨を「立たせる」ことが重要なポイントである
- 背骨と肋骨を土台にすると肩甲骨が正しい位置に整う
- 立甲の概念が肩甲骨の安定に役立つ
肩甲骨が埋もれる原因を理解し、適切な対策を講じることで、肩甲骨を本来の位置に戻し、背中や肩のこりを解消することができます。
姿勢の改善や筋肉の柔軟性を高めることで、肩甲骨が自由に動き、日常生活での不快感を軽減できるでしょう。
今回ご紹介した方法を実践し、肩甲骨が埋もれる状態から解放され、健康な体を取り戻してください。
肩甲骨のケアを継続することで、快適な生活を手に入れましょう。