立甲は、肩甲骨が肋骨から離れて立ち上がった状態を指し、スポーツパフォーマンスの向上に重要な理論とされています。
しかし、立甲がうまくできない原因は様々です。肩甲骨周りの筋肉の固さ、肩甲骨と腕の連動の不足などがあげられます。
この記事では、立甲ができない主な原因と対策方法について詳しく解説します。
- 立甲ができない原因には肩甲骨周りの筋肉の固さが影響する
- 肩甲骨と腕の連動がスムーズでない場合、立甲が難しくなる
- 前鋸筋を使うことが立甲には重要
- 肩甲骨を立てる感覚を身につけるためのトレーニングが重要
立甲とは
立甲は、運動科学総合研究所の高岡英夫先生が提唱した理論で、「甲腕一致」とも呼ばれることがあります。
現在、立甲にはさまざまな解釈がありますが、一般的には肩甲骨が肋骨から離れて立ち上がった状態を指します。
スポーツのパフォーマンスを向上させるために、立甲は重要な理論のひとつです。
立甲が上手くなるといろいろな運動がうまくなるのだ
上半身を使う野球だけでなく、サッカーや陸上競技でも、立甲は腕の振り方に大きく影響するため重要なトレーニングとなっています。
立甲のメリットとは
肩甲骨と肋骨を分離して動かすことで肩関節・胸郭の可動域が上がり、肩を安定したポジションで使うことが可能になると共に、スポーツパフォーマンスの向上にも繋がるとされています。
立甲ができることによるメリットとしては、以下の点があげられます。
- 腕全体をしなやかに力強く使えるようになる
- 身体に「軸」が通りブレが少なくなる
- 下半身からのエネルギーを腕に伝えることができるようになる
- 身体への負担が減少し怪我のリスク減少する
また、一般生活においても様々なメリットがあります。
- 肩こりの改善
- デスクワークや車の運転中の肩から腕の安定感の向上
- 料理などの腕に力を入れる動作の疲労感の軽減
立甲ができない原因とは
立甲ができない理由は様々ありますが、どのような理由で立甲ができないのか解説していきます。
肩甲骨周りが固い
肩甲骨周りの筋肉が固まっていることが一番の原因です。肩こりに悩んでいる場合、立甲を行うのは難しいでしょう。
立甲ができるためには、肩甲骨周りの筋肉が十分にほぐれていることが重要です。
肩甲骨が上下左右に自由に動かせるくらいに、周りの筋肉がほぐれていることが条件となるでしょう。
まずは肩周りを柔らかくすることから始めるのだ…
肩甲骨が動かない場合は、まず肩甲骨が動かせるように周りの筋肉をほぐすことから始めてください。
肩甲骨がはがれていない
肩甲骨の柔軟性にはいくつかの段階があります。まず、肩甲骨がある程度動かせるようになることが第一段階ですが、これだけでは立甲には十分ではありません。
次の段階として、肩甲骨が肋骨からはがれることが必要です。これは、肩甲骨がある程度動かせるだけでは達成できないため、注意が必要です。
肩甲骨が柔らかいだけではなく、肩甲骨が肋骨からはがれる必要がある
肩甲骨が肋骨からはがれている状態とは、肩甲骨の下に指が入る状態のことです。
できていない人は肩甲骨と肋骨の間に指を入れて動かしたり、他の人にほぐしてもらったりしょう。
この段階に到達すると、ようやく立甲に必要な肩甲骨周りの柔軟性が得られます。
肩甲骨はがしはおすすめの方法ですわ♪
肩甲骨を立てられない
肩甲骨周りの柔軟性は十分あるのに立甲ができない場合、肩甲骨を立てる感覚がないことが原因と考えられます。
立甲とは肩甲骨を立てることを指します。つまり、肩甲骨を立てる感覚がなければ、立甲はできないのです。
肩甲骨を立てるという感覚を身につける必要がある
肩甲骨を立てるには、必要な部分をしっかり支え、力を抜く部分はしっかり抜くという感覚があることが重要です。
立甲をする時は、腕から肩甲骨にかけての部分をしっかりと支え、肩甲骨の間や体幹部を脱力させることで隙間ができ、立甲が可能になります。
支える部分と抜く部分のメリハリをつけるのだ!
多くの人は脱力に注目しますが、それはしっかりと支えられるようになって初めて意味を持ちます。まずは支える感覚をつかみ、肩甲骨を立てる感覚を身につけましょう。
腕と肩甲骨が一致していない
腕の支える力が肩甲骨に伝えられないと立甲はできません。支える力が途中で逃げてしまうと肩甲骨まで力が伝わらないためです。
腕に力が逃げてしまう理由としては腕が力んでいるあるいは肘に力がはいている場合が考えられます。
写真では肘が外側に逃げてしまっているのだ……
そのため、肘を抜きながら腕を使うことを心がけます。そうすることで腕と肩甲骨が一直線に使えるようになり、力が伝わるようになります。
腕と肩甲骨を一致させるのがポイント
立甲の正しいやり方とは
立甲の正しいやり方について解説していきます。立甲のできている人の画像を参考にしてみてください。
まずは、四足になりましょう。四足とは四つん這いになることです。
腕と脚の幅は腰幅になるようにしましょう。
腕と脚は横から見たときに垂直になるようにしましょう。
腕は方が上がらない位置に来るように調整しましょう。
腕と肩甲骨を一直線上にして腕からの力を肩甲骨に伝えるようにします。
しっかりと腕と肩甲骨一致させて支えるようにするのがポイントです。
首・肩・体幹の力を抜いていきます。肩甲骨の周りや背骨と肩甲骨の間の力抜きましょう。
腕で支えている力は入れたまま、他の部分の力を抜くのがポイントです。
立甲の注意するポイント
前鋸筋を活用する
立甲ができない理由の1つに、前鋸筋がうまく機能していないということが挙げられます。
前鋸筋は、腕を前に出し切ったり、肩甲骨を前に動かしたりするのに役立ちます。
また、呼吸の補助としても機能します。肩甲骨を立てるときには、肩甲骨と肋骨の位置を確定する役割もあります。
肩甲骨を立てるためには、この肋骨と肩甲骨の位置をしっかり固定することが重要です。この部分に力が入らないと、腕からの力がうまく肩甲骨に伝わりません。
立甲の時は前鋸筋を意識するのが大切
特に注意すべきポイントは、肩甲骨と前鋸筋の下部です。
この部分をしっかりと働かせることで、肩甲骨を効果的に立てることができ、より意味のある動作になります。
甲腕一致をさせる
立甲を行う際、肩甲骨を立てることに意識が集中しすぎると、腕の感覚が失われることがあります。これも、立甲がうまくいかない理由の一つです。
特に、肘のトレーニングをしていない人にとっては、肘が外側に広がってしまい、力が外側に逃げてしまい、腕から肩甲骨までの連動が妨げられることがあります。
腕と肩甲骨を一致させるのですわ……
重要なポイントは、肘を抜きながら行うことです。また、最初は立甲ができなくても構いません。
まずは肩甲骨と腕をしっかりと一体化させ、圧力をかける練習をすることが重要です。
この方法で、力が適切に伝わる感覚を身につけることができ、結果的に、肩甲骨から立甲をトレーニングするよりも早く、立甲を行うことができるようになります。
立甲に必要なトレーニング
肩甲骨はがし
2人で行う肩甲骨はがしについて解説していきます。
準備するもの
用意するものとしてはヨガマットとタオルです。受け手で肩が痛いという場合は、タオルを敷くようにすると良いでしょう。
施術を受ける人は、施術しやすいように薄手の服装にしましょう。
肩甲骨はがしの方法
施術を受ける人は、肩を下にして横向きに寝ます。
受け手はまずリラックした状態で横向きになってもらい、上の腕を後ろに垂らした状態になってください。
肩・首・肩甲骨に力を入れない状態にしてください。
体は地面から90度からやや前にかぶさるようにしましょう。上の腕は後ろに垂れさせて、肩甲骨が掴みやすい状態にします。
施術者は受け手の頭側に位置し頭側に膝立ちをし、自分の脚を使い相手の胸を支えるようにしてください。
施術者のポイントとしては受けての肩甲骨が浮いてくる体の角度を調整するようにしましょう。
うまく角度が決まると自然と肩甲骨が浮いてきます。
手で肩甲骨の下を引っ掛けて肩甲骨を持ちます。
肩甲骨が掴みにくい場合は、無理せずに受け手が痛くない範囲で行います。
肩甲骨を両手で挟み込み、前後上下に動かします。
その後、円を描くようにして肩甲骨を動かし、肩も一緒に動かして全体をほぐします。
肩ユッタリ回し体操
肩周りを柔らかくする体操です。肩を前・上・後ろ・下の順番で回していきます。
肩が力まないようにすることがポイントです。
肘クルン体操
肩甲骨が自然と開閉運動する体操です。また肘の位置が自然と調整される体操です。
慣れてきたら肋骨を動かさないようにするとより効果的です。
記事のまとめ
記事のまとめです。
- 立甲ができない原因は肩甲骨周りの筋肉が固さ
- 肩甲骨周りの筋肉が十分にほぐれる必要がある
- 肩甲骨が肋骨から十分にはがれている必要がある
- 腕から肩甲骨までの力の伝達が重要
- 肩甲骨を立てるための正しい感覚が身につける必要がある
- 肩甲骨を立てることに過度に集中すると、腕の感覚が失われ、立甲が難しくなる
- 肘が外側に広がってしまうと、腕から肩甲骨までの連動が妨げられる
- 肩甲骨をしっかり立てるための適切なトレーニングが必要
立甲ができない原因について詳しく解説しました。肩甲骨周りの筋肉の柔軟性や動きの制限、肩甲骨と腕の連動の不足など、立甲の障害となる要因は様々です。
立甲を行う際にはこれらの原因に注意し、適切なトレーニングを行うことが重要です。
立甲を実現するために、ぜひこの記事を参考にしてみてください。