社交ダンスで「ホールドが決まらない」「肩がすぐ上がってしまう」と悩んでいませんか?
実はその原因、多くの場合は“肩”そのものではなく、「肩甲骨」の使い方にあります。
「社交ダンス 肩甲骨」と検索してこのページにたどり着いたあなたは、ホールドの美しさや安定感を向上させたいと思っているはずです。
この記事では、肩甲骨の役割や動き方、そしてそれをどのように社交ダンスに活かしていくかを、具体的かつ実践的に解説していきます。
肩甲骨を正しく理解し使いこなすことで、無駄な力みが抜け、ホールドの見た目と機能が格段に変わります。
- 社交ダンスにおける肩甲骨の役割と重要性
- 肩が上がる原因とそれを防ぐ身体の使い方
- 肩甲骨を柔らかくし、正しく使うための方法
- ホールドを美しく保つためのトレーニング法
肩甲骨とは

肩甲骨は、背中の上部に左右対称にある三角形の平らな骨です。
肩甲骨は、肩や腕の動きを助ける重要な役割を担っています。
これにより、肩甲骨は肋骨の上に位置し、肩関節や鎖骨と連結させ腕を自由に動かすことができます。
また、肩甲骨には肩峰や烏口突起などの突起があり、多くの筋肉が付着しています。

社交ダンスにおける肩甲骨の重要性

社交ダンスにおいて、特にアマチュアレベルでは、ホールドの美しさが結果に大きく影響します。
そのホールドを美しく保つために、肩が上がらないようにすることが非常に重要です。
ホールドが美しく見えない理由はいくつかありますが、よくある原因の一つが、腕から肩にかけて力みが生じていることです。

肩周りの力みが抜けるかが上達に大きく関わっているのだ……
この力みによって、ホールドが詰まった印象を与え、広がりや空間の美しさが損なわれてしまいます。
しかし、「肩を上げないようにする」といっても、それを正しく実践するためには肩周りの構造を深く理解する必要があります。
多くの人は「肩の力を抜く」と考え、肩全体の力を抜いてしまいますが、これは正しいとは言えません。
余計な部分の力は確かに抜くべきですが、一部の重要な筋肉にはある程度力を入れておく必要があります。



一概に力を抜けばよいという話でもないのですわ
そうしないと、ホールド全体のシルエットが崩れてしまうからです。
そのため、肩甲骨を含む肩周りの構造を正しく理解し、鍛えることが、ホールドの美しさを保つために欠かせないのです。
肩甲骨の動きや役割を知り、その開発に取り組むことで、広がりのあるホールドにすることができるのです。
肩甲骨には力が入っている状態にして、他の部分は力が抜けているようにする
肩が上がらないようにするには


肩が上がらないようにするためには、身体の構造的なポイントを理解することが非常に重要です。
なぜなら、構造を理解しないと、必要最小限の力でホールドを作ることが難しくなるからです。
プロの動きを観察すると、上級者ほどホールドがしっかりと取れており、余分な力が抜けています。これは、必要な部分だけに効率的に力を入れているからです。
一方で、アマチュアや上達に伸び悩む人は、しばしば無駄に力んでしまいます。
この「余計な力み」は他の動き、特に上半身の動きを妨げ、動きの連動までも阻害します。その結果、肩が上がるだけでなく、全体の動きにも悪影響を与えるのです。



上半身の力みで下半身がロックされている人はよく見るのだ
では、肩が上がらないようにするにはどうすればよいのでしょうか。
それは、肩の力を抜くことを意識するのではなく、肩以外の部分をうまく使うことで、肩の力を自然に抜ける状態にすることです。
このとき、重要な役割を果たすのが肩甲骨です。肩甲骨は背中にある大きな骨で、多くの筋肉がそこに繋がっています。
肩甲骨に繋がる筋肉を活用することで、肩が上がる原因となる僧帽筋の過剰な働きを抑えることができます。
上半身では僧帽筋は鍛えては行けない筋肉の筆頭
また、ホールドが上手な人の特徴は、肩が上がっておらず、ホールドが安定して「土台に乗っている」状態になっていることです。
上腕骨と肩甲骨を一体化させるように動かすことで、全体的な構造を強化し、安定したホールドを作ることが重要なのです。


肩甲骨はどうあるべきか


肩甲骨の重要性について理解が深まったと思いますが、具体的に肩甲骨をどのように扱えばよいのでしょうか。
最も避けるべきことは、肩甲骨周りの筋肉を闇雲に鍛えることです。なぜなら、無秩序に筋肉を鍛えるだけでは、余計な力みを生み出し、効果が得られないからです。
まず重要なのは、力みを取り除き、肩甲骨周りを柔軟にすることです。肩甲骨が硬い状態では、どれだけ意識しても本来の動きを引き出すことができません。
次に必要なのは、力みが抜けた状態で肩甲骨を意識し、その構造を正しく使えるようにすることです。
これにより、肩甲骨が本来持つ役割を思い出させ、機能させることができます。
これらの「力みを抜くこと」と「肩甲骨を意識して構造的に使うこと」の両方を意識しなければ、肩甲骨を正確に活用することはできないのです。
肩甲骨の柔らかさとは
肩甲骨の柔軟性について考える際、2つの重要なポイントがあります。
それは「可動域の広さ」と「動きの滑らかさ」です。
多くの場合、肩甲骨の可動域の広さが重視されがちですが、それだけでは肩甲骨を十分に活用することはできません。
可動域が広くても、肩甲骨を滑らかに動かせないのであれば、その機能を最大限に引き出すことはできないからです。



一般的には可動域に目が行きがちなのだ……
動きの滑らかさが欠けている場合、その動かない部分は硬直しており、運動の中で実際に使うことができません。
そのため、硬直した部分を動かすためのトレーニングが必要になります。
固まっている部分を解きほぐすために様々なメソッドをやる必要がある
さらに、一部分だけ可動域が大きい状態も問題になることがあります。狭い範囲であっても多方向に滑らかに動かせる方が、全体としてパフォーマンスが高く見えることも多いのです。


肩甲骨を開発するのに重要なこと
肩甲骨を柔らかくしたり、使えるようしたりすることについては、多くの人がすでに耳にしたことがあるでしょう。
しかし、実際に大会で選手を観察してみると、肩甲骨を十分に使いこなせていない人が多いです。
こうした人たちに肩甲骨のストレッチや筋肉の開発方法を教えたとしても、それだけでは効果を上げることは難しいです。
なぜなら、ストレッチや筋力開発だけでなく、それを「実際に使えるようにする方法」を教えられていないからです。
では、どのように肩甲骨を使いこなせるようにすればよいのでしょうか。その答えは、肩甲骨の「役割」を身体に覚えさせることです。



概念が難しいけど、このへんは頑張って理解するのだ
肩甲骨の役割はさまざまありますが、ダンスにおいて最も重要なのは「上腕骨を肩甲骨で支えること」です。
これがうまく機能することで、余計な力みを取り除き、肩ではなく肩甲骨を中心に背中の筋肉で腕を支えることが可能になります。
具体的には、腕を支える役割を「肩」から「肩甲骨」に移行させることがポイントです。



肩という意識を抜いて肩甲骨で支えられるようにするのですわ
これにより、腕を無理なく安定させることができ、ホールドがより美しく見えるようになります。


肩甲骨のおすすめトレーニング
肩甲骨を効果的に開発するためには、2つの方法が重要です。
それは、「肩甲骨周囲を柔らかくするためのトレーニング」と、「肩甲骨の動きと意識を高めるトレーニング」です。
では、具体的にどのようなトレーニングが必要なのでしょうか?
肩甲骨剥がし
これまでさまざまなトレーニングを紹介してきましたが、肩甲骨を柔らかくするうえで特に効果的なものは「肩甲骨はがし」です。
このトレーニングは、肩甲骨周りの筋肉をほぐし、硬直した筋肉を解放することを目的としています。
肩甲骨はがしで重要なのは、大きく2つのポイントです。
1つ目は、肩甲骨周りの筋肉全体を柔らかくすること。2つ目は、筋肉を徹底的に「はがしていく」ことです。
- 筋肉全体を柔らかくする
- 筋肉を肋骨からはがす
多くの人は、肩甲骨周りの筋肉が硬直してカチカチになっていることがほとんどです。まずはこれをゆるめることが必要です。
次に大切なのは、肩甲骨周りの筋肉をより深く、徹底的にほぐしていくことです。
特に重要なのは、肩甲骨と肋骨の間にある筋肉をしっかりと解放することです。この部分が硬いままだと、肩甲骨が自由に動かず、本来の動きを引き出せません。



肩甲骨周りの筋肉がトロトロになるようにするのだ
さらに、肩甲骨の上部と肋骨の間の筋肉は特に硬くなりやすい部分です。



肩甲骨の下部は比較的柔らかくなりやすいのですわ
この箇所は、長年肩甲骨はがしを続けていても硬さが残ることが多いため、重点的にほぐすようにしましょう。
肩甲骨はがしの具体的な方法については、以下の記事を参考にしてみてください。




立甲


立甲は、肩甲骨を効果的に使いこなすうえで最も重要なトレーニングの一つです。
多くの人が誤解しがちなのは部分としては、立甲が「肩甲骨と上腕骨を一致させること」ではなく「肩甲骨を立たせるということ」が目的となっていることです。
確かに、肩甲骨が立つこと自体も重要ですが、それは肩甲骨周りが柔軟であり、上腕骨と一致している結果として自然に達成されるものです。
インターネット上で見られる多くの立甲に関する動画では、その要点を正確に捉えられておらず、単にパフォーマンスとして見せているものも少なくありません。



立甲は中身が大切なのですわ……
そのような動画では、動きの本質を理解せずに形だけ真似してしまい、立甲を実際の運動能力向上に繋げることはできません。
では、立甲を正しく行うためにはどこを意識すればよいのでしょうか?


腕の幅と脚の幅の設定
腕の幅は肩幅、脚の幅は腰幅に合わせるのが基本です。
これより広く設定すると、力が外側に逃げてしまい、体に圧力がかからなくなるので注意が必要です。



身体の幅に合わせるのですわ
腕を地面に対して垂直に使う
腕を垂直に使うことも重要なポイントです。
多くの人がこの部分を意識できていないため、立甲が中途半端になってしまっています。
特に重要なのは、肘の力を抜くことです。肘に力が入ったままだと、腕と肩甲骨が一致せず、力が逃げてしまいます。
肘の力を抜くことで、腕全体と肩甲骨を一体として機能させることが可能になります。



腕を真っ直ぐ使うことも重要な能力なのだ
肘を抜く意識
肘を抜くための具体的な方法については、以下の動画が参考になります。
この動画では詳細を語っていませんが、肘の「外側の力を抜き、内側で支える」というポイントを押さえています。



これは肘抜きの非常に重要な部分だから覚えておくのだ
これにより、肘の余計な力みを解消しながら、しっかりと腕を支えることができます。
記事のまとめ
記事をまとめます。
- 肩甲骨は肩や腕の動きを支える重要な骨である
- 社交ダンスでは肩甲骨がホールドの美しさに直結する
- 肩の力みはホールドの広がりと安定感を損なう
- 肩を上げないためには肩甲骨を正しく使う必要がある
- 肩全体の力を抜くのではなく必要な筋肉に力を入れる
- 肩甲骨の柔軟性は可動域と動きの滑らかさの両方が重要
- 肩甲骨を鍛えるには力みを抜き構造を理解する必要がある
- 肩甲骨の役割は上腕骨を支えることである
- 肩甲骨はがしで筋肉の硬直を解消し柔軟性を高める
- 肩甲骨と肋骨の間の筋肉をゆるめることが特に重要
- 立甲は肩甲骨と腕を一体化させるための効果的なトレーニング
- 立甲では肘の力を抜き肩甲骨と連動させることが要点
社交ダンスにおいて、肩甲骨は単なる骨の一部ではなく、美しいホールドと安定した動きの土台となる重要な存在です。
肩を上げない意識だけでは限界があり、肩甲骨の構造と動きを正しく理解し、使いこなすことが不可欠です。
本記事を通じて、肩甲骨の柔軟性や筋肉の使い方、具体的なトレーニング法などを学ぶことで、あなたのホールドは確実に変わり、踊りの質も向上していくはずです。
ぜひ日々の練習に肩甲骨の意識を取り入れ、「見た目」と「機能」を兼ね備えたダンスを目指してください。